その他変更
その他の主な変更点としては、以下の①~⑤があります。 ① 基本金・国庫補助金等特別積立金の取扱い ② 引当金の範囲 ③ 公益法人会計基準(平成20年4月)に採用されている会計手法の導入 ④ 退職共済制度の取扱いの明確化 ⑤ 共同募金配分金等の取扱い
基本金・国庫補助金等特別積立金の取扱い
- 1号基本金及び国庫補助金等特別積立金における「固定資産限定」を変更
現行の会計基準においては、10万円未満の初期調度物品等を1号基本金及び国庫補助金等特別積立金から除外している一方、指導指針では含めているなど、取扱いが異なっていた。
そこで、実態に即した計算・表示とするため、基本金及び国庫補助金等特別積立金の設定時において固定資産以外も計上できるように変更するものとする。 - 4号基本金の廃止
基本金を法人の設立及び施設整備等、法人が事業活動を維持するための基盤として収受した寄付金に限定し、事業活動の結果として収支差額を振り替える現行基準の4号基本金は、他の基本金と性格が異なるため、基本金として取り扱わないものとする。 - 国庫補助金等特別積立金に「施設・設備整備資金借入金の償還補助金」を追加
施設・設備整備費の国庫補助金等については、一旦国庫補助金等特別積立金に積立て補助対象資産の償却期間にわたって取崩すことにより、損益の平準化を図るものとする。
現行の会計基準において、国庫補助金等特別積立金には、施設・設備整備資金借入金の償還補助金が含まれていなかった(一方で指導指針には含まれていた)が、これは実質的に施設・設備整備補助に相当するため追加される。
引当金の範囲
引当金については、現行の会計基準では ①徴収不能引当金 ②賞与引当金 ③退職給与引当金のほか ④その他引当金 が認められていた。
しかし、上記④「その他引当金」の実質的な内容は積立金の性格が強い点、開示内容の透明化を図る点から、当面の間引当金は ①徴収不能引当金 ②賞与引当金 ③退職給与引当金 の3種類とする。
公益法人会計基準に採用されている会計手法の導入
資産と負債に係る流動・固定の区分、資産の価値の変動等をより正確に財務諸表に反映し、財務情報の透明性を向上させるため公益法人会計基準(平成20年4月)を参考にし、以下の会計手法を導入する。
- 1年基準(ワン・イヤー・ルール)
貸付金、借入金等の債権債務は、決算日翌日から1年以内に入金・支払の期限が来るものを流動資産・負債とし、1年を超えるものを固定資産・負債とする基準。
決算日翌日から1年以内に入金・支払の期限が来る流動資産・負債は、支払資金から除かれます。貸借対照表の流動資産合計 △ 流動資産合計 + 徴収不能引当金 + 賞与引当金 △ 商品・製品・仕掛品・原材料 △ 1年以内回収予定長期貸付金 △ 1年以内回収予定事業区分間長期貸付金 △ 1年以内回収予定拠点区分間長期貸付金 △ 1年以内回収予定サービス区分間長期貸付金 + 1年以内返済予定設備資金借入金 + 1年以内返済予定長期運営資金借入金 + 1年以内返済予定リース債務 + 1年以内返済予定役員等長期借入金 + 1年以内返済予定事業区分間長期借入金 + 1年以内返済予定拠点区分間長期借入金 + 1年以内返済予定サービス区分間長期借入金 + 1年以内支払予定長期未払金 = 支払資金残高
- 金融商品の時価会計
金融商品を期末の時価で再評価し、財務諸表に計上する手法。 - リース会計
耐用年数の大半の期間をリース契約で使用する機械など、リース物件を資産として、リース債務を負債として財務諸表に計上する手法。 - 退職給付会計
将来発生する退職給付額と積み立てた年金資産の差額等を財務諸表に計上する手法。 - 減損会計
固定資産の価値の下落を財務諸表に計上する手法。 - 税効果会計
収益事業を実施する法人において、税負担の額を適切に期間配分して財務諸表に計上する手法。
退職共済制度の取扱いの明確化
- 福祉医療機構の実施する退職共済制度については、従前と同様に掛け金を費用処理する。
- 都道府県等の実施する退職共済制度は、退職共済預け金と同額を退職給付引当金に計上する処理方法に統一する。
- 法人が利用する退職給付制度は、様々な制度が活用されているため、財務諸表利用者の理解に役立つよう財務諸表の注記に法人で採用している退職給付制度の内容を明示する。
共同募金配分金等の取扱い
- 共同募金会から社会福祉法人への配分金(一般配分金、特別配分金)は、民間助成金に近い性格を持つものであることから、民間団体からの助成金と同様の処理を行うものとする。
- 受配者指定寄附金は、寄付者が共同募金会を通じて社会福祉法人に寄附するものであることから従前と同じく寄附金として処理を行うものとする。
共同募金配分金等については、現行会計基準では取扱いが明示されておらず、指導指針では
- 一般配分金は寄附金収入として受け入れるものとし、
- 受配者指定寄附金は役員等からの寄附金と同様の処理を行うものとしていた。
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