移行
社会福祉法人新会計基準の移行時期
(素案)の段階では、大規模法人は平成24年度予算から移行することになっていましたが、(案)になった段階で実現可能な法人から移行することに変更されています。
さらに、平成23年7月27日付けの3局長連名通知で「社会福祉法人の新会計基準」の発表されましたが、「実施可能な法人については平成24年度から、すべての法人については平成27年度から」と変更されました。
(素案)より
移行時の取扱い
共通事項
新会計基準への移行時における基本的な考え方
- 移行年度期首の貸借対照表残高を拠点区分ごとに把握する。
- 勘定科目比較表(別紙①~別紙⑧及び別紙⑬)に基づき、新会計基準の勘定科目に組み替える。
- 移行時の取扱いにより必要となる会計処理を移行年度期首における仕訳処理にて行う。
新会計基準移行年度の事業活動計算書及び貸借対照表における前年度との対比について
新会計基準移行年度に限り、前年度の数値の記載は不要。
新会計基準移行年度における過年度分の収益又は費用等の取扱いについて
原則として、 ・事業活動計算書の特別増減による収益又は費用。 ・資金収支計算書のその他の活動による収入又は支出。 ・性格を明らかにする名称を付した勘定科目。
例外として ・重要性が乏しい場合は、サービス活動外増減による収益又は費用。 ・「会計基準移行に伴う過年度修正額」等の勘定科目を設ける場合は、内訳科目又は内訳を注記。
移行時の取扱い一覧表(現行会計基準と指導指針のみ。それ以外は省略。)
○・・・「移行時の取扱い」があるもの。 ×・・・ないもの。
移行時の取扱い | 旧基準 | 指導指針 |
---|---|---|
事業区分、拠点区分、サービス区分の設定 | ○ | ○ |
貸借対照表の組替え | ○ | × |
有価証券 | ○ | ○ |
ファイナンス・リース取引 | ○ | ○ |
退職給付引当金 | ○ | ○ |
その他の引当金 | ○ | × |
第4号基本金 | ○ | ○ |
国庫補助金等特別積立金取崩額 | ○ | ○ |
設備資金借入金元金償還補助金 | ○ | ○ |
勘定科目の移動 | 別紙① | 別紙③ |
積立金及び積立預金 | × | × |
純資産の部の内訳表示 | × | × |
資金収支計算書の支払資金残高の設定 | × | × |
長期前受補助金からの振替 | × | × |
社援施8号参照 | × | × |
別紙①③はこちらからご覧ください。
主な移行に伴う調整
事業区分・拠点区分・サービス区分の設定
有価証券に係る調整
会計基準移行に当たり、有価証券については次の方法による調整を行うこととする。
① 会計基準移行年度期首に所有する有価証券のうち、時価評価を適用するものに係る会計基準移行年度の前年度末の帳簿価額と前年度末の時価との差額は、過年度の収益又は費用等として調整することとする。
② 会計基準移行年度期首に所有する有価証券のうち、償却原価法を適用するものに係る会計基準移行年度期首の帳簿価額と取得時から償却原価法を適用したこととして算定した移行年度期首の帳簿価額との差額は、過年度の収益又は費用等として調整することとする。
ファイナンス・リース取引について、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う場合の調整
リース取引開始日が会計基準移行前の取引については、次のいずれかの方法による調整を行うこととする。
① 会計基準移行年度において、賃貸借処理から売買処理に変更し、リース取引開始時から売買処理を適用した場合の会計基準移行年度期首までの減価償却累計額をリース料総額(現在価値へ割引後)から控除した金額をリース資産に、未経過リース料相当額(利息相当額控除後)をリース債務に計上する方法。
なお、リース資産計上金額とリース債務計上金額との差額は、過年度の収益又は費用として調整することとする。
② 会計基準移行年度における未経過リース料残高相当額(利息相当額控除後)を取得価額とし、会計基準移行年度期首に取得したものとしてリース資産、リース債務を計上する方法。未経過リース料期末残高相当額(利息相当額控除後)を取得価額とした場合は、会計基準適用後の残存期間における利息相当額については、利息法によらず、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分することができる。
③ リース取引開始日が会計基準移行年度前の所有権移転外ファイナンス・リース取引で、従来賃貸借処理を行っていたものについては、当該リース契約が終了するまでの期間、引き続き賃貸借処理によることができるものとする。
退職給付引当金に係る調整
従来、都道府県等の実施する退職共済制度に加入している法人が採用している退職給与引当金に係る会計処理として次の方法が挙げられる。
① 退職共済預け金は掛金累計額、退職給与引当金は期末退職金要支給額で計上する方法
② 退職共済預け金、退職給与引当金共に期末退職金要支給額で計上する方法
③ 退職共済預け金、退職給与引当金共に掛金累計額で計上する方法
これに対し、会計基準では、下記④~⑥の方法を認めている。なお、期末退職金要支給額とは、都道府県等の実施する退職共済制度における約定の給付額から被共済職員個人が既に拠出した掛金累計額を差し引いた額をいう。
④ 退職給付引当資産は掛金累計額、退職給付引当金は期末退職金要支給額で計上する方法
⑤ 退職給付引当資産、退職給付引当金共に期末退職金要支給額で計上する方
法
⑥ 退職給付引当資産、退職給付引当金共に掛金累計額で計上する方法
会計基準への移行に当たり採用できる会計処理の方法は、従来採用している会計処理の方法により次のように区分されるが、移行時に限り、従来採用している方法から会計基準で認められるそれぞれの方法への変更を認めることとする。
・従来、①を選択している法人
④の方法を選択することを原則とするが、⑤又は⑥の方法に変更することも妨げない。
・従来、②を選択している法人
⑤の方法に移行することを原則とするが、④又は⑥の方法に変更することも妨げない。
・従来、③を選択している法人
⑥の方法に移行することを原則とするが、④又は⑤の方法に変更することも妨げない。
その他の引当金に係る調整
会計基準への移行に当たり、会計基準移行年度の前年度末において計上されている徴収不能引当金、賞与引当金、退職給与引当金以外の引当金については全額取り崩すこととする。
第4号基本金計上金額に係る調整
第4号基本金は、会計基準では廃止されたため、会計基準への移行に当たり第4号基本金計上額は、全額取り崩すこととし、取崩金額は事業活動計算書上繰越活動増減差額の部に「基本金取崩額・第4号基本金取崩額」という勘定科目を設けて計上することとする。
また、当該勘定科目は、旧基準で認められていた第4号基本金を移行年度において取り崩す場合に限り使用できる勘定科目である。
なお、移行時の特例として、第4号基本金の取崩金額を事業活動計算書上繰越活動増減差額の部に計上する方法に代えて、別紙⑮「4号基本金取崩調整表」に基づき、貸借対照表上、直接「次期繰越活動増減差額」若しくは「積立金」に組み替える取扱いを可能とする。その場合、財務諸表に対する注記(法人全体用)「15.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項」又は財務諸表に対する注記(拠点区分用)「12.その他社会福祉法人の資金収支及び純資産増減の状況並びに資産、負債及び純資産の状態を明らかにするために必要な事項」に、その旨を記載すること。
国庫補助金等特別積立金取崩額の計算
会計基準への移行に当たり、原則として、固定資産の減価償却累計額と国庫補助金等特別積立金取崩額との調整を行うこととするが、重要性が乏しい場合には、この限りではない。
なお、介護保険事業について、「「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」等の当面の運用について」(平成12年12月19日社援施第49号・老計第55号課長通知)に基づき、国庫補助金等特別積立金取崩額の計算に当たり指導指針の方法による処理の結果を旧基準の計算書類の計上額としている場合には、会計基準への移行に当たり特段の調整処理は不要である。
設備資金借入金元金償還補助金に係る国庫補助金等特別積立金の設定
① 原則的方法
会計基準への移行に当たり、会計基準移行前の会計年度において、設備資金借入金元金償還補助金を受領している場合(償還補助予定額が確定している場合を含む)には、当該補助金について国庫補助金等特別積立金へ計上しなければならない。
会計基準への移行適用に当たっての国庫補助金等特別積立金の計上金額は、国庫補助金等がいまだ入金されていない金額を含んで取崩しが先行するため、既に入金済みの国庫補助金等の総額から、償還補助予定額の総額(設備資金借入金の償還に係る補助が既に打ち切られている場合には、実際に入金された国庫補助金等の額)を基礎として会計基準移行度期首までの経過期間の減価償却累計額に対応する国庫補助金等特別積立金取崩額の累計額を控除して算出する。
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② 移行時の特例
会計基準移行年度において償還補助金の対象となっている固定資産の耐用年数のほとんどが経過している等により、会計基準移行年度以降の取崩金額に重要性が乏しい場合には、当該補助金に係る国庫補助金等特別積立金の計上を行わないことができるものとする。
また、①の方法に代え、会計基準移行年度においては特段の調整処理を行わず、移行年度以降の会計年度において受領する設備資金借入金元金償還補助金について、受領会計年度で国庫補助金等特別積立金へ積み立て、移行年度以降において入金が予定されている設備資金借入金元金償還補助金の合計金額(以下、補助金合計金額という)を基礎として支出対象経費(主として、減価償却費をいう。)の期間費用計上額に対応した金額を取り崩すこともできることとする。具体的には、例えば、主たる補助対象固定資産を特定し、補助金合計金額を主たる補助対象固定資産の残余耐用年数で除した金額を各事業年度の国庫補助金等特別積立金取崩額として計上する方法である。
さらに、移行年度以降の会計年度において入金が予定されている設備資金元金償還補助金の額について重要性が乏しい場合、各会計年度に受領する設備資金借入金元金償還補助金を国庫補助金等特別積立金に積み立て後、受領額全額を国庫補助金等特別積立金取崩額として計上することもできることとする。
この場合においても、土地の取得に係る設備資金元金償還補助金がある場合には、移行年度以前に受領した当該補助金の総額を国庫補助金等特別積立金に計上するものとする。
なお、介護保険事業について、「「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」等の当面の運用について」(平成12年12月19日社援施第49号・老計第55号課長通知)に基づき、設備資金借入金元金償還補助金に係る国庫補助金等特別積立金の設定について、指導指針の方法による処理の結果を旧基準の計算書類の計上額としている場合には、会計基準の適用に当たり特段の調整処理は不要である。
既通知の取扱いの方向性
移行期間終了をもって廃止の方向
- 「社会福祉法人会計基準の制定について」
(平成12年2月17日付け社援第310号 大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知) - 「社会福祉法人会計基準の制定について」
(平成12年2月17日付け社援施第6号 大臣官房障害保健福祉部企画課長、社会・援護局企画課長、社会・援護局施設人材課長、老人保健福祉局老人福祉計画課長、児童家庭局企画課長連名通知) - 「社会福祉施設を経営する社会福祉法人の経理規程準則の制定について」
(昭和51年3月31日付け社施第25号 社会・援護局長、児童家庭局長連名通知) - 「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等に係る会計処理等取扱指導指針」等の当面の運用について
(平成12年12月19日付け社援施第49号・老計第55号 社会・援護局施設人材課長、老人保健福祉局老人福祉計画課長連名通知) - 「授産施設会計基準の制定について」
(平成13年3月29日付け社援発第555号 社会・援護局長通知) - 「授産施設会計基準に係る取扱いについて」
(平成13年3月29日付け社援保発第23号・障障発第12号・障精発第18号 社会・援護局保護課長、障害保健福祉部障害福祉課長、障害保健福祉部精神保健福祉課長連名通知) - 「社会福祉法人会計基準への移行に関する留意点について」
(平成12年2月17日付け社援施第8号 社会・援護局施設人材課長通知)
社会福祉法人以外の事業者に適用されるものとして存続する方向
- 「指定介護老人福祉施設等に係る会計処理等の取扱いについて」
(平成12年3月10日付け老計第8号 老人保健福祉局老人福祉計画課長通知) - 「介護老人保健施設会計・経理準則の制定について」
(平成12年3月31日付け老発第378号 老人保健福祉局長通知) - 「指定老人訪問看護の事業及び指定訪問看護の事業の会計・経理準則の制定について」
(平成7年6月1日付け老健第122号・保発第57号 老人保健福祉局長、保険局長連名通知) - 「就労支援等の事業に関する会計処理の取扱いについて」
(平成18年10月2付け社援発第1002001号 社会・援護局長通知) - 「社会福祉法人会計基準における減価償却の見直しに伴う「就労支援事業会計処理基準」の取扱いについて」
(平成19年7月31日付け障障発第0731002号 障害保健福祉部障害福祉課長通知)
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